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離散モース理論


 PDF|離散モース理論

 離散Morse理論はcell complexの組成、およびそのcollapsingについて、多様体のMorse理論に類似した理論である。R. Formanが1995年に【For95】 で導入している。
 Discrete Morse関数は(regular)cell complexのface poset上の関数、これは各単体に対して実数値をとるものである。無論、定義域は単体の集合として考えているので、連続性などは考慮していない。ただし、face orderと実数の大小関係をある程度保つような条件を必要とする。
 重要なのは、多様体でいうところのcritical pointに対応するcritical cellである。そのcell complexはcritical cellに一対一に対応するcell complexにhomotopy同値であるというのが大切なのだと思う。ホモトピー的な情報を変えずにcellの枚数を減らすことが出来るからだ。
 それ以外でも対応している概念はあって、vector filedに対応してdiscrete vector fieldが、gradient flowに対応して、V-pathが、という具合になっている。これらのintroductionはFormanの論文【For02】が読みやすい。例題も図も豊富に用意されている。

 多様体のMorse functionからは、Morse complexとうchain complexが構成できた。Discrete Morse functionからも、元の多様体のhomologyと一致するようなchain complexが得られる。また、betti数とのcritical cellの個数との間にMorse不等式に対応するもので評価ができる。

 Algebraic versionの離散モース理論はKozlovらがchain complexに対して考えている【Koz05】 などは、非常に簡潔で読みやすい。

もともとの滑らかな場合と離散的な場合のMorse理論の関係も気になる。多様体でありながら三角形分割を持つようなPL多様体においては、滑らかなMorse関数から三角形分割上の離散Morse関数(matching)を構成しようとする試みは、 【Gal08】 や、【Ben12】【Ben10】などで行われている。